天体望遠鏡の購入前にビギナーが学ぶ基礎知識 ①天体望遠鏡の仕組み

ここでは、望遠鏡の基礎知識を紹介します。

望遠鏡メーカVixenのサイトの説明が分かりやすかったので画像を引用して簡単に解説します。

天体望遠鏡のしくみ

まず天体望遠鏡は、大きく「鏡筒+架台+三脚」の組み合わせでできています。

それぞれどういうものかみていきましょう。

鏡筒の種類

望遠鏡の筒の部分を鏡筒(きょうとう)と呼びます。

鏡筒の中にレンズや反射鏡が入っており、鏡筒の種類や大きさによって見れる星の状態が異なります。

鏡筒の口径が大きいほど、たくさんの光を集められるため明るくなり、暗い天体の観測・撮影に使えます。

鏡筒の種類には、「屈折式、反射式、カタディオプトリック式」などがありますの紹介します。

屈折式

屈折式は、使い方が簡単でビギナーに最もオススメです。

大きなレンズ(対物レンズ)でできた像を接眼レンズで拡大して観察することができます。

メリット
・視界全体が常に安定していてコントラストも良く、あらゆる天体の観測に対応します
・保管時の手入れなども特に必要なく、大変扱いやすいです。
デメリット
・反射式、カタディオプトリック式の鏡筒と比べると、同じ口径でも価格が高くなります。
・反射式、カタディオプトリック式の鏡筒と比べると、レンズを複数枚使うため、重量が重くなります。

反射式

反射式は、暗い星まで観測したい中上級者にオススメです。

凹面鏡を使って星の光を集め、斜鏡で反射させて接眼レンズで拡大して観察します。

メリット
・屈折式と比べ、中心部の像がシャープで、色収差(像のまわりに色がついてしまうこと)がありません。
・屈折式と比べ、大口径のものでも、比較的手頃な価格で手に入ります
デメリット
・太陽観測ができません。
・鏡筒内と外気に温度差があると、筒内気流が発生して像が揺らいでしまうので、天体望遠鏡を室内から外へ移動させたときなどは前もって外気温に慣らす必要があります

カタディオプトリック式天体望遠鏡

カタディオプトリック式は、屈折式と反射式のメリットを組み合わせた形式です。

メリット
・屈折式と比べ、鏡筒が短く軽量なので、持ち運びや観測が楽
・屈折式と比べ、大口径のものでも、比較的手頃な価格
・色収差、球面収差、像面湾曲のすべてが、高いレベルで補正されています
デメリット
・太陽観測ができません

架台の種類

望遠鏡を三脚に固定する部分を「架台(がだい)やマウント」と呼びます。

架台があることで鏡筒を取り付けて自由に動かせるようになります。

架台の種類には、大きく「経緯台」「赤道儀」の2種類あります。

経緯台

経緯台は、気軽に天体観測をしたい方にオススメです。

鏡筒を上下左右に動かして星を追うことができます。

メリット
・組み立てやすく扱いも簡単
・軽量なので持ち運びが楽
デメリット
・高倍率になるほど星の移動に手動で対応するのが大変になるため、長時間観測にはやや不向き

赤道儀

赤道儀は、日周運動(地球の自転)に合わせて星を追うことができます。

長時間観測や本格的に写真撮影をしたい方にオススメです。

メリット
・長時間の星の追尾が可能
・高倍率で観測・天体写真撮影に適している
・自動導入・自動追尾をはじめ、多機能タイプもある
デメリット
・扱いに慣れる必要がある
・経緯台と比べると重量がある。

三脚

鏡筒を架台に保持するための支えを三脚と呼びます。

大きな鏡筒を取り付けるためには大型の架台や三脚が必要になります。

ファインダー

ファインダーとは、望遠鏡についている小望遠鏡です。

まずここで見たい対象を狙って視界にとらえます。

接眼レンズ(アイピース)

接眼レンズを変えることで望遠鏡の倍率を変えることができます。

※当記事の画像はビクセンの公式ページより引用

鏡筒の焦点距離の違いによるメリット・デメリット

対物レンズや主鏡から焦点までの距離のことを「焦点距離」といいます。

鏡筒によって、同じ口径でも焦点距離は異なります。

焦点距離メリットデメリット
長焦点高倍率を出しやすい

象の歪みや収差(色のにじみ)が少ない

鏡筒の長さが長くなり扱いづらい

写真撮影に不向き(F値が大きい)

短焦点鏡筒の長さが短く扱いやすい

写真撮影向き(F値が小さい)

高倍率が出しにくい

象の歪みや収差が大きい

それぞれ、メリット、デメリットがありますので、目的に応じて鏡筒を選ぶと良いかもしれません。

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